Wー3−2       第15回医療情報学連合大会 15th JCMl (Nov.,1995)

ワークショップ 歯学部・歯科大学附属病院の病院情報システムを考える

鹿児島大学歯学部附属病院にあける医療情報システム

○竹原重信、伊藤学而
鹿児島大学歯学部附属病院医療情報室

1.はじめに  現在、多くの医学部附属病院や大規模な病院で、 総合病院情報システムが稼働しているが、歯科医 療情報システムに関しては、導入されているとこ ろは少ない。  しかし、そのシステムの重要性は多くの人が認 めるところであり、将来的に導入を検討している 歯科病院も少なくない。そこで、これからの歯科 医療情報システムの構築を考えるために、現在稼 働している鹿児島大学歯学部附属病院のシステム を報告する。 2.稼働しているシステム  本院では、コンピュータを利用した病院業務と して、昭和59年より医事システムが稼働してい た。平成2年の機器更新の際、電算システムのトー タル化を目指すことになり平成2年10月より看 護勤務管理システム、平成3年4月より最初のオー ダリングシステムとして放射線オーダリングシス テムを導入した。その後、平成3年11月より処 方オーダリングシステム、平成5年4月より外来 予約システム、平成6年5月より入院患者看護管 理システムを順次導入してきた。そして、平成7 年8月より物流システムが稼働している。 3.機器構成  最初は、業務課患者係に数台の端末とプリンター が設置されていた。平成2年の機器更新の時、オー ダリングシステムの導入を検討し各診療科外来や 病棟、および中央診療施設にそれぞれ2〜3台ず つ端末を設置し、合計して端末機38台、プリン ター32台が導入された。そして、平成7年の機 器更新時には、システムの増加に伴う端末の不足 や、物流システムの導入を考慮し大幅な機器の増 強を行い、端末機87台、プリンター54台、バー コードスキャナ23台、IDカードリーダ23台 を導入した。ホストコンピュータは、医学部附属 病院と共用している。

4.システムの開発  オーダリングシステムを導入するために、平成 2年に医療情報室と情報処理係を設置し、医療情 報室運営委員会を発足させ、院内のとりまとめを 行った。  システムの導入は、従来の業務の流れを変えな いことと開発期間の短縮を考え、既にオーダリン グシステムが稼働していた医学部附属病院のシス テムを基本として、歯科の業務の違いによるプロ グラム修正を行い作成した。  放射線オーダリングシステムは、医学部にない 撮影方法の口内法のために歯式人力のできる画面 を新規に開発した。また、外来予約は医学部にな いため歯学部独自で開発を行った。その他のシス テムは、多少の修正で導入が可能であった。 5.まとめ  オーダリングシステムの導入により、撮影依頼、 処方依頼から医事会計処理までの一貫した処理が 可能になり、手書き伝票を不要にすることができ た。このことは、データの正確化と処理の迅速化 に寄与し、患者へのサービス向上、業務の省力化 が可能になった。  しかし、医師、看護婦にとっては、端末の操作 方法の習得やデータの入力が大きな負担と感じて いるようである。これは、データ人力の煩雑さと 自分たちへのメリットをあまり感じないことが原 因だと思われる。  今後、オンラインシステムはパソコンを利用し たPCオーダリングへ移行していくと思われるが、 データ入力の簡易さとデータ活用の重要性を考慮 して新しいシステムを構築していかなければなら ない。



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