Wー3−1       第15回医療情報学連合大会 15th JCMl (Nov.,1995)

WorkShop:歯学部・歯科大学附属病院システムを考える
病院情報システムの設計理念

   ○廣瀬康行
   東京医科歯科大学 歯学部 歯科麻酔学講座
   東京医科歯科大学 医学部 医療情報部システム開発室副室長

 東京医科歯科大学 歯学部 附属病院では病院情報 システムの開発当初から電子診療録(電子カルテ)の 構築を目指してきた[1].我々が目標とした病院情報 システムとは; 1.Ordering Systemという概念からの脱却 2.個々の診療データは患者毎に【問題指向型診療  録】として整理され互いに【関連】づけられ 【統  合】された病歴の記述と記録を礎にしていること. 3.医事会計業務や病院経営情報あるいは物流管理な  どに必要な全ての情報は,前項によって蓄積され  たデータベースから抽出できること. である.したがって我々の考えた電子カルテすなわち 病院情報システム内の【診療プラットフォーム】とは 以下の如くである[2][3][4][5]; ● Problem/Episode と Medical Actionの関連づけ  様々な診療情報を【時間経過】の中で【統合】する こと.これをMedical History Fileと呼んでいる.こ れにより診療内容の【再現】【追跡】【逆追跡】 【逆問題解析】を可能とすること.結果として,会計 業務や適正診療【監査】も可能とすること.あるいは 【実態調査】用の有効な資料が蓄積される.これは, 診療情報の医学的な【再利用】に関しても新しい途を 拓くものである. ● 参照した画面のログを記録  目的の一つはSecurity/Privacy絡みの意義.もう 一つはMedical History Fileと,このReference Log Journalとから,エキスパートシステムへの足がかり となる【思考過程】の記録と情報蓄積とを試みた. ● 電子カルテから開始  歯科では「処置」しかも「傷病名」と関連づけられ た処置入力が基本的な診療サイクルであるとともに 報酬請求にも必要である.したがって,必ず傷病名と

処置とを連関させて入力する必要がある.これによっ てレセプト処理業務の省力化も可能となった. ● 診療プラットフォーム  ユーザがシステムを操作する際に,電子カルテ は 【デスクトップ】に感じられると同時に【仮想患者】 としてもイメージされる.つまり「その」患者の様々 な経過や情報を参照しながら次のmedical action を 決定できるということである. ● ツールとユーティリティ  そのために必要なツール群やユーティリティ群は, プラットフォームの中に用意する.「オーダリング」 なども一つのツールに過ぎない.このようなシステム 環境は,【システム内での医療事故の防止】にも役立 つし,システム内で「その患者」を見失うこともなく なる.これは【エルゴノミクス】にも則った考え方で ある.  さらにプラットフォームを介してツール群やユー ティリティ群自体が【統合した動き】をすることがで きるので,システムを追加すればするほどエンドユー ザに課せられている重複入力等は減っていく. そして実際にこの構想に則った病院システムの一部 を実現させ,現在では安定稼働させている実績を有し ている.なお様々な問題点ならびに将来への展望等に ついてはワークショップにて言及する. 参考資料 1)平成3年度国立大学医療情報部門連絡会議. 2)第12回医療情報学連合大会論文集 815−816.1992. 3)第12回医療情報学連合大会論文集 333−334.1992. 4)第2回日本歯科コンピュータ医学会. 5)医療とコンピュータ 7(2)128−141,1995.


--- << Keywords of Integrated Medical Record DataBase >> --------------------------------------
I.Medical History File
    Episode Net
    Linkage of Problem/Episode to Medical-Action and individual Data
II. Reference Log Journal
    Privacy and Security
    Pathway of the decision−making
lll.Ptatform & Tools
    Platform Image: Virtual DeskTop and 'the' Patient (medical record formatted interface)
    Tools & Utilities: Entry tools, Ordering tools,Referencing tools, Booking tools, ...


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