3-G-3-4 データベースと標準化 / ワークショップ: 歯科領域の標準化―新たな一歩をここから

課題研究会としての総括と今後の活動展開

○玉川 裕夫

大学附属歯科病院情報処理研究会 大阪大学 歯学部附属病院 医療情報室

抄録: 大学附属歯科病院情報処理研究会は、日本医療情報学会の課題研究会として、1995年に発足した。発足の目的は、歯学部および歯科大学附属病院の病院情報システムに関しての情報交換であり、主としてメーリングリスト(dhis@cc.showa-u.ac.jp)を使って活動をはじめている。
1995年の第15回医療情報学連合大会で、”歯学部・歯科大学附属病院の病院情報システムを考える”と題したワークショップを開催したことを皮切りに、その後第16回大会では”歯科の病院情報システムでの携帯端末利用を考える”、98年には医療情報学会シンポジュウムに場所を移して、”歯科用図形文字の標準化”、99年には同シンポジュウムで”歯科病院情報システムの現状と今後の課題”と、それぞれ活発な議論を行ってきた。
その結果、歯科用特殊文字がJIS規格として採用されたことや、歯の部位情報交換に関する標準化案を日本保健医療情報システム工業会と共同で提案したことなど、大学附属歯科病院の枠組みにとらわれない成果を生み出すにいたった。
そこで我々は、活動対象を大学病院に限定せず、歯科診療所や一般病院の歯科口腔外科などの医療機関をはじめとして、行政組織や教育機関など顎口腔領域の医療にかかわる多くの組織を対象とし、そこで交わされる医療情報を扱える組織へと成長することを検討している。歯科技工士や歯科衛生士の関与で生まれるコデンタル領域の医療情報とも密接なやり取りを行う必要があり、さらには日本国内だけでなく国際的な視野も必要とされることから、ワークショップでは、今後の活動展開についてディスカッションを深め、方向性を見極めたい。

The Standardization in Dentistry - New steps for new century -
Activities and future plans of the Research group for Dental Hospital Informatics under the Japan Association for Medical Informatics

Hiroo Tamagawa

Division of Medical Information, Osaka University Dental Hospital, Osaka, Japan

Abstract: The Research group for Dental Hospital Informatics under the Japan Association for Medical Informatics has been continued to contribute in information exchange among the members concerned with dental hospital information.
In this work shop, we summarize the acrivities of the research group and discuss on the future plan the group.
The most evaluatable outcome of this group is that adding minimum requirement of 31 characters to Japan Industrial Standard (JIS) character code set and confurmed their ability to the full expression of human dentition.

Keywords: Dental Hospital Information SystemStandardization


1. はじめに

大学附属歯科病院情報処理研究会は、日本医療情報学会の課題研究会として、1996年に発足した。発足当時、全国の歯科大学・歯学部附属病院では、病院情報システムが導入されつつあったが、医科と歯科の違いを理解したシステム作りは端緒についたばかりで、現場からの多くの課題にこたえられる研究組織もなかった。さらに、医科大学や一般病院で導入されている病院情報システムでも、医科と歯科の診療体系や保険請求の違いが十分に反映されておらず、いまだに歯科だけ手書き伝票で処理しているところもあった。
高齢化社会をむかえるにあたって、患者単位の医療情報交換が急務とされることから、医療情報の交換に歯科からの積極的な関与が求められていると考え、本研究会では、歯科の病院情報システムを中心として、病診連携から日常臨床に至るまで、医療情報処理に伴う歯科特有の問題を具体的に示すと同時に、その解決策を検討・提案することを研究課題としてきた。

2. 本研究会の活動

表1に当研究会が主催したワークショップやシンポジュウムのタイトルと演者を示した。

表1 本研究会の活動一覧

1995年の第15回医療情報学連合大会で、”歯学部・歯科大学附属病院の病院情報システムを考える”と題したワークショップを開催したことを皮切りに、その後第16回大会では”歯科の病院情報システムでの携帯端末利用を考える”、97年には医療情報学会シンポジュウムに場所を移して、”歯科用図形文字の標準化”、99年には同シンポジュウムで”歯科病院情報システムの現状と今後の課題”と、それぞれ活発な議論を行っている。
1996年の第16回大会では、当研究会の発足が承認されている。

3. 本研究会の成果

歯科用特殊文字がJIS規格として採用されたことや、歯の部位情報交換に関する標準化案を日本保健医療情報システム工業会と共同で提案したことなど、大学附属歯科病院の枠組みにとらわれない成果を生み出すにいたった。

4. 当研究会の活動領域

そこで我々は、活動対象を大学病院に限定せず、歯科診療所や一般病院の歯科口腔外科などの医療機関をはじめとして、行政組織や教育機関など顎口腔領域の医療にかかわる多くの組織を対象とし、そこで交わされる医療情報を扱える組織へと成長することを検討している。
歯科技工士や歯科衛生士の関与で生まれるコデンタル領域の医療情報とも密接なやり取りを行う必要があり、さらには日本国内だけでなく国際的な視野も必要とされることから、ワークショップでは、今後の活動展開についてディスカッションを深め、方向性を見極めたい。

参考文献

[1] Toward an Electronic Patient Record '99 Proceedings, p24-28, 1999.